武藤校長による『芝漬流子育て』 vol.3
我が家の「食卓」についてどうお考えでしょうか?
まずは我が子が誕生してからの事を思い返してみてください。
離乳食を始めた時、お母さんが小さなスプーンで、小さな口まで運んでいた食卓。
子供が自分でご飯を食べられるようになった時、食べ物で遊んでいる我が子を叱ったり、上手に残さず食べられた時に偉いえらいと褒めたり、幼稚園での出来事を一生懸命お話しする我が子を囲んでみんなで笑ったり。
家族の団欒の中心は食卓だったのではないでしょうか。
食卓とは、家族の歴史なのです。
食卓の変化を見逃さない
そんな食卓に変化が生じるのが、我が子が小学校低学年の時ではないでしょうか。
寄せ箸をして食べている、クチャクチャと音を立てている、足を組んで食べている。
そしてお父さんお母さん、スマホを見ながら食べていませんか?
もちろん全ての方とは申しませんが、食事のマナーが乱れ、食卓の意義が薄れてしまうのがこの時期が多いということです。
お父さんお母さんの中には、小学校時代の給食時間中に「残さず食べなさい」「嫌いな物も食べなさい」と、給食時間終了後でも居残りで給食の指導を受けている友達を見た、もしかすると体験したという方がいらっしゃるのではないでしょうか。現在では行き過ぎた指導としてできません。先生方も勉強とは違って、食事のマナーを指導する難しさがあるのが現実です。
したがって、食事のマナーは家庭の食卓で親が教える以外方法はありません。
食事のマナーだけではありません。
子供は食卓の椅子に座ると、当たり前のように食事が出てくると思っているかもしれません。
言うまでもありませんが、その食事を作られるお父さんお母さんの労力、食材を買うためのお金、食材を作られる農家さんの苦労などなど、1つの食事には色々な方の苦労が含まれているのですから、これを低学年のうちに学び、理解することが必要です。
食卓=家庭教育
では低学年の我が子にどのように学ばせるのか。
それは、料理をするお母さん(お父さん)の背中を見せることです。お母さんは子供がいない方が捗るのはわかりますが、そこはグッと堪えて意図的に見せてあげてください。男子はお母さんが大好きですから、料理中の姿を見ていれば、「あの野菜はなんだろう」「あの機械かっこいい」などなど、子供たちは興味を示すはずです。
興味が湧けば会話が増えます。最初は料理にたいするたわいもない会話かもしれませんが、いずれ食材の旬や、季節ごとの伝統食のことなど「季語」が含まれてきます。季語が含まれてくると、子供の中に情緒感が芽生えはじめ、食事に対する『姿勢』が身につきはじめます。最初からお手伝いをさせて学ばせようとするのは逆効果。男の子は“命令”されるのがキライですから(笑)。
見せるだけ。今日からでも始められます!
芝のアドミッションポリシー
芝はお弁当持参が基本です。
私も担任を持っていた時代は自分で弁当を作り、教室で生徒たちと一緒に食べてきました。そこでわかるのは、食事の『姿勢』が正しい生徒は特に伸びます。勉強だけではありません。その子が大人になり、自分の子と一緒に学校に遊びに来たとき、とても気持ちの良い挨拶をしてくれて、家庭教育が親子2代、3代と受け継がれているのがわかりました。
見出しにあるアドミッションポリシーとは、その学校が受験生に求める力です。
私(個人的にですが)は、芝のアドミッションポリシーは『食事がキチンとできる生徒』にしても良いと本当に考えています。
つまり、教育には勉強よりも大切なことがあるということです。
食卓で、我が家の教育方針を話し合ってみてください。教育方針にマッチした学校を選択するのが学校選びの本質です。食事のマナーをしっかりと守れる子に育てたい。そんな方針を掲げたら、ぜひ芝に遊びに来てください。芝は高校生に対して「ちゃんと歯を磨こう!」と集会で真面目に話す学校ですよ。
第15代校長 武藤道郎