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武藤校長による『芝漬流子育て』 vol.6

6本目となります芝漬流子育て論『デートのすすめ』ご覧ください。

 

子供に想いを伝えるなら同じ目線で

新しい先生の採用面接でこんなことを聞くことがあります。

「生徒に思いを伝えたいとき、あなたはどうしますか?」
ある先生は、こう答えました。

「私は、今の世の中は多様性が重視されているので、児童・生徒のそれぞれがもつ特性を理解して、コミュニケーションをとっていきます」
素晴らしい回答ですよね。でも、昭和の時代の先生は同じ質問にこう答えるかもしれません。
『膝をついて、同じ目線で目を見て話します』

三代校長渡邊海旭先生は、悪さをした生徒を自坊に招き、縁側でお庭を二人で見つめていたという。夕刻になって、「夕方になったから、気をつけて帰りなさい」それだけで終わったそうです。教師の資質として、「十坪の王様になってはいけない」と教えられてきました。また、「二十四の瞳を忘れない」と言われたこともあります。これらに関して、「どういう意味だかわかりますか?」「どう思いますか?」私が採用面接でこのような質問をしたら、先生方は困るでしょうか?

しかし、これらの質問に明確な答えはありませんので、全て正解とするならば回答者はどんなことを考えて答えを導きだしているのか気になります。もしかすると、逆に質問をしてくるかもしれません。上手に答えられなくても、そのことにどのように対応するのかからもその人の人柄も含めて色々なことがわかるのではないかと思います。

子供との目線の合わせ方は、教師でも答えはなく、悩むものなのです。

成長に合わせて子供との距離、見せる姿を考えて

子供が成長してくると共に過ごす時間が少しずつ減って、子供も少しずつ自分の秘密を持つようになっていきます

お母さん、男の子の秘密を暴いてはいけませんよ。気になることがあったら、昔の男の子に聞いてみて下さいね。
お父さん、女の子に男の子のように接してはいけませんよ。失敗したら、すぐに謝って、昔の女の子に聞いてみて下さいね。

昔の女の子さん、昔の男の子さん。幼い頃、お父さん・お母さんの会話が気になったことがありませんか? 誇張されて聞こえたことも、気になる言葉がいつまでも残ったことはありませんか?

いつかは全ての会話の意味やつじつまが合ってくるでしょうが、その年齢の時に聞くべき会話や言葉であるかは、大人が慎重に判断しなければなりません。また、判断がつかないことかもしれません。「わかるだろ」と大人が子供の回答の幅を狭めることは傲慢です。子供にそんな強制をする大人は、未熟で配慮が足りません。


子供は親の様子が気になる時がふとやってきますが、ほとんどの親はそれに気がつかず、つい見せたくないものも見せてしまいます。その配慮が親業の修業であると仮定するならば、気づくのはなかなか難しいですよね。
子供が10歳ならば、親も10歳なのです。

喧嘩しそうになったら「コーヒー飲みにいこう」

ではどうすれば良いのか。
そのようなことでお困りのお父さん・お母さんに朗報です。

それが私からの「デートのすすめ」です。

夫婦間で何か言いたいこと、相談事があったら、「お父さん。コーヒー飲みに行こう」「お母さん。買い物行こう」と誘い合って2人でお出かけ下さい。そして、家を離れてからどうぞ話し合ってください。それが我が家の当たり前になったのなら、子供たちは「お父さん・お母さん仲良いね」と思うでしょうし、皆にそのように話をすると思います。

コーヒー飲みながら、買い物しながら、多くの人前で話ができることは、たいていたいしたことなく、笑って解決できます。素敵なアイデアも生まれます。しかし、風邪と同じで閉じられた家の中でこじらせると、いつまでもぐずぐずと、余計なことにまで腹を立てることになります。

「コーヒー飲みに行こう」、この発想一つで色々なことに好循環をもたらすことができるでしょう。
子供は成長し、徐々に手は離れるでしょうが、すぐ近くから親のことをよく見ています。

甘党さんには申し訳ないですが、デートのコーヒーはブラック無糖でお願いします。ほろ苦いのか、香りが高くオイリーなのか、それぞれの家庭の味でお楽しみ下さい。


私は本校の教員に、『男子教育のプロであれ』『高嶺を目指して研鑽せよ』と日々ほろ苦いメッセージを送っています。
生徒は教員も良く見ていますし、生徒の良きロールモデルであるべきだと考えているからです。
本校のフレッシュで爽やかな若手教員、香り高くオイリー(脂の乗った)なベテラン教員、そのバランスが本校の『絶妙な教師力』になっています。

学校説明会は、低学年の保護者の方も大歓迎です。子育てを考える“親”として、ぜひお越しください。

 第15代校長 武藤道郎

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