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武藤校長による『芝漬流子育て』 vol.7

7本目となります芝漬け流子育て論『頭が “下手くそ” はチャンス』ご覧ください。

 

“頭が悪い” “勉強がだめ” のレッテルは危険

小さい頃は、ちょっと絵を描いたり、積み木ができたりしただけで「上手にできたね」と褒めていたかと思います。
「上手いこと言うね」「上手いことやるね」と言ってきたのではないでしょうか。

しかし、大きくなってくると、必ずしも親の期待通りに自ら勉強して伸びていく子ばかりではありません。
ましてや「うちの子は、『勉強しなさい』って言ったことはないんです」という家庭の話は滅多に聞かないですよね。
多くの親は「うちの子は勉強しなくて困ります」と言います。

この期待通りはとても危険で、親は決してそのつもりではなくても、
子どもは親の言動から「期待通りの自分でいたい」「期待通りの自分でいられているか」
「期待通りの自分でいられていない」で、小さな心を痛めている場合があります。

そして、期待通り=人並み。と、知らず知らずに感じたりすることは、
長い時間に多くの影響を与えてしまうことになると思います。


勉強すれば、努力は報われて、成績は上がるでしょう。
しかし、成績が上がらなかったのは、必ずしも勉強しなかったわけではないのです。
ましてや、頭が悪かったわけではないのです。

“下手くそ”は本人だけのせいではない

あるお嬢さんが「私、頭が下手くそだから」と言ったことがありました。
頭が“下手くそ”という表現はこれまで聞いたことはありませんでしたが、
これを聞いてハッとしました。
“下手くそ”だったら“上手”になれるのです。

「うちの子は勉強がダメで」「うちの子は頭が悪くて」と言うのはやめて、
「うちの子は勉強が下手なんです」と言ってみてはどうでしょう。

そして、勉強が“下手”なのは、本人だけのせいではないのです。
相手は子ども。勉強の仕方がわかっていないのかもしれません。
下手くそなのは、時間のかけ方や、力を入れる部分や、問題の読み方など、
戦略的な部分ができていないのかもしれませんし、
気持ちの上でスタートから「できないや」と負けてしまっているのかもしれません。

下手くそは、やり方がわかれば上手になれるのです。
下手な状態からアドバイスしたり、
上手にできるように導いてあげたりするのが、親や教師といった大人の役目ではないでしょうか。


「だめ」と言うレッテルは、“上手にやるにはどうするか”という思考を停止させてしまいます。
勉強の方法ではなく、“成績を上げる”“点数を上げる”の一点にだけ思考がいき、子どもを追い詰めてしまいかねません。

同じ点数でも、前回と何が違うか中身に注目

子どもがテストで前回と同じ点数を取ってきたとします。
「またこの点なの?もっといい点取れなかったの?」はNGです。
同じ点数でも、何が違っているのかを話し合うのが親の役目。
改めてその点数の中身を見てみましょう。

みんなが失敗しているところができたのか、基本的な問題でミスをしたのか……。
同じ点数であっても、何が違うのか、子どもと話し合ってみることが大切ではないでしょうか。

私が、現場で授業を教えていたときもよく保護者面談で
「点数は同じでも、ここができたのはすごかったんですよ!」とお伝えしていました。

特に、中学受験に向けてみんなが頑張っている中で点数を伸ばしていくのは、非常に難しいです。
受験でも普段の勉強でも、
何かきらりと光るところや変化を見逃さずに褒めてあげることが、子どもの次の一歩につながるはずです。

短絡的な目的を持った人を追い込むことは、ズルをする方向に気持ちが向いてしまう恐れを生みます。
一方で、しっかりした目標を持った人を追い込むと、
その先の世界を見に行こうと努力ができるようになります。

例えば、文化祭や体育祭です。
「みんなで勝ちたい」「みんなでいい文化祭をつくりあげたい」と言う気持ちが、締め切りやトラブルも乗り越えさせてくれるでしょう。

家族団体戦は、長期的視点で取り組んで

子どもが勉強が “下手” ならば、どこがその子の “下手” なのか一緒に探してあげてください。
点数を上げるという点に追い込んでしまうと、本来の勉強の意図とは異なってしまうところに向いてしまいます。
中3や高1になってきて「俺は勉強しない」宣言をする子がたまにいますが、
それは誰のための勉強なのかを結局理解していない証拠なのです。

中学入試は、お金も時間もかかるので、
「これだけやってダメならなんとかどこかに入れたい」という親が増えてきている気がします。
親子で話し合いをされているとは思いますが、長期の視点で見ることが大事です。
家族団体戦で取り組むことはいいのですが、
親にとっても初めてのことが多いので力を入れ過ぎてしまうこともあるでしょう。

スピッツの歌に「チェリー」という曲があります。
振られた彼女に対して思いを歌った曲ですが、その歌詞の中に
♪ズルしても真面目にも生きてゆける気がしたよ♪ という歌詞があるのです。

どちらでも生きていける。
だったら、ズルしない方向に子どもが生きていけるように、上手い方法を大人が導いてあげられたらいいなと思います。

学校説明会は、低学年の保護者の方も大歓迎です。芝学園の『導き方』をお話しさせていただきます。

第15代校長 武藤道郎

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